絶滅危惧種フサヒゲサシガメを国内から約36年ぶりに再発見
フサヒゲサシガメの雌成虫(渡部撮影)
石川県ふれあい昆虫館の渡部晃平学芸員、齊木亮太学芸員、伊丹市昆虫館の長島聖大学芸員、昆虫研究者の小松 貴博士らの研究チームが、絶滅危惧種に選定されている希少なカメムシ「フサヒゲサシガメ」を国内から約36年ぶりに再発見しました。
本研究成果は、2025年12月30日に、日本昆虫分類学会の学会誌「Japanese Journal of Systematic Entomology」に掲載されました。
研究の背景
フサヒゲサシガメPtilocerus immitis Uhler, 1896はサシガメ科に属する体長5 mm内外の陸生昆虫です。本種は本州、四国、九州、台湾に分布し、昔は西日本に広く見られました。しかし、国内では近年まったく記録がないことから、環境省版レッドデータブックの絶滅危惧II類に選定されています。最新の正式な記録は、岡山県で1989年に採集された1個体と考えられ(渡辺,2001)、その後は記録がありませんでした。
研究成果
山梨県でフサヒゲサシガメの雌1個体が発見され、採集に成功しました。これは山梨県初記録および約36年ぶりの国内からの記録となります。
本種は、アリ類を専門に捕食するとされています。文献ではオオズアリを捕食するとの記述がありました(菊原,2014)。今回見つかった個体で行った我々の調査では、オオズアリを含む10種のアリを与えてみました。残念ながら、どのアリに対しても捕食行動は観察されず、オオズアリに対しては顕著な拒否反応を示しました。この結果が、寄主ではないアリを導入したためなのか、捕食行動に必要な刺激が存在しなかったためなのかはわかりませんでした。残念ながら採集個体は実験の途中で死んでしまいましたが、今後はより多くのアリを対象とした実験を行い、寄主の特定が望まれます。
引用文献
論文情報
論文タイトル:Rediscovery of Ptilocerus immitis Uhler, 1896 (Hemiptera: Reduviidae) from Japan
掲載誌:Japanese Journal of Systematic Entomology
著者:渡部晃平,齊木亮太,長島聖大,小松 貴
論文掲載サイト:https://doi.org/10.69343/jjsystent.31.2_260